大河ドラマ「光る君へ」。
藤式部ことまひろが書き始めた物語は
書き始める前までは
「まだ書き始めないの?」と思っていましたが
書き始めたら、筆は早いようで
もう三十三帖が仕上がったらしい。
先月の放送は彰子の懐妊〜出産。
お渡りになった帝に、何の脈絡もなく
「お慕い申し上げております」
と涙ながらに言ったシーンは
インパクトがありましたね〜。
そして
お香好きには「嗚呼!」となったポイントが
2回ありましたよ。
1回目は、帝が道長に
「今宵、藤壺へ参る」と言ったあとのシーン。
女房たちがいそいそと
帝のお渡りに合わせて
彰子の身支度を整えています。
と、女房の一人が
大きな玉入れのカゴみたいなものを
ひっくり返して床に置いた!!
思わずテレビに向かって
「え⁈ホントに⁉️」
と話しかけてしまった…
あれは、知ってる人が見ないと
何をしているかわからないはず。
あのカゴの中にはお香が薫かれていて
薫いている香炉の上をカゴで覆い、
そのカゴの上に着物を被せて
着物にお香の香りをつけようとしているもの。
現代なら香水をプッシュと2〜3回吹き掛ければ済む話ですが
平安時代はそうはいかない。
手間と時間をかけて
着物に香りを移していきます。
カゴは「伏籠(ふせご)」と呼ばれる道具ですが
私のしっている形ではなかった…
私の知っているのはこんな感じ↓
香源さんのサイトで販売していました。
かなりお高いですが、
販売していることにも驚きました。
なので
「そんな玉入れのカゴみたいな伏籠、ホントなの?
スタッフが適当に想像で作ったんじゃないの?」
と思ったら、本当にあったらしい。
ある方のブログで
京都の風俗博物館というところに
人形で再現されている展示があったという記事をみつけました。
着物にお香の香りをつけたいと思っている皆さん、
目の荒い竹製の玉入れのカゴを使って
お香を薫きしめてみてはいかがでしょうか?
(こちらは京都御所)
(こちらは藤壺ではなく、帝のお住まい「清涼殿」)
2回目は、帝の藤壺へのお渡りのあと、
彰子の懐妊がわかるシーン。
彰子に女房が「かようの香りでございます」と
香炉を渡されたときに
彰子がうっっとなったシーンです。
誰もが「つわり」に気づきましたよね。
現代なら、炊き立てのご飯をよそった
お茶碗を渡されて「うっ」となるところ。
つわりを演出するのに
お香をもってきたところがすごいですねぇ。
ですが、お香の変態にとってポイントはそこではない。
「今、かようって言った!!」
と大声を出してしまいました。
隣で夫が何のこと?とこちらを見ていましたけど。
平安の頃、お香の香りには
「六種(むくさ)の薫物」という
決まったお題の香りがありました。
6種類の香りということです。
季節に合わせて
「春ならこっち、夏ならそっち」
というのがあったんです。
この「かよう」は夏の香りです。
かようは荷葉と書き、
蓮の花に似せたかおりです。
逆にいえば夏にしか薫かない。
といことで
これは夏のシーンだね…
とわかったのですが
疑り深い私は
史実もそうだったのか気になり
ググってみました。
どうやら1008年(寛弘5年)初春、懐妊が判明。
同年9月11日、敦成親王を出産したようです。
初春に懐妊が判明したということは、
夏の香りではないよね…と思いましたが
ドラマ的に
つわりで懐妊がわかったようにしたいとなると
つわりの起こる時期だから、
初夏でもいいのか、と1人で納得してました。
光る君への脚本家を含むスタッフの皆さん、
よく考えて作っているなぁと感心しました。
今月の光る君へも楽しみ。
ちなみに画像は、私が今年の初春に
京都へ行った際の写真です。