かさじぞうは傘地蔵??

曇天が続く埼玉。

今週は雨さえ降らなければ曇天でもいいから!と言いたくなるのは

週末に川越まつりの山車曳行を控えた我々川越市民。

 

昨日も夕方までは降りそうで降らなかった空模様。

夕方に行われた川越まつりの「笠渡し」に、私も参列させていただきました。

 

 

川越まつりは観光要素が強いものの、キチンとした神事。

昨年、初めて祭りに関わらせてもらったときに、笠渡し・会所・笠脱ぎと

山車を持っている町内会レベルで神事が行われていることに、

礼法を学んでいる私としては、めちゃくちゃ感動したものです。

この笠を受け取ると、本格的に我々町人も「祭りが始まります」。

 

夕刻から行われる神事は、松明で照らされる仄暗い神社の中、

各町の代表が神職から笠を受け取ります。

 

 

傘ではなく笠を受け取るのです。

今どき日常で、傘は使っても笠は使わないですね。

というか「笠」の漢字自体は、笠井さんとか笠原さんとかの漢字を見て読めるけど、

笠って何よのレベルです。

 

でもなんとなく頭に浮かぶのは、昔話の『かさじぞう』。

たぶん「笠地蔵」であって「傘地蔵」ではない。

いや、もし「傘地蔵」で雪の中を傘をさした地蔵が歩いている絵があったら、それはそれで驚く。

というわけで「あ〜笠ってあれか」と理解に至ります。

 

笠渡しでいただく笠は、単なる笠ではありません。

リンドウが包まれた熨斗がついている笠です。

 

こちらは昨年、我が町が使った笠です。

笠が置かれているのは祭壇。会所と呼ばれています。

 

この「リンドウが包まれた熨斗」は、私のテンション爆上がりポイント。

私の伝えている「礼法」の中では、熨斗についても学びます。

熨斗なんて日常生活では全く意識しませんが

全く見たことがないという人もいないでしょう。

 

多くの人が見かけるのは、結婚式でご祝儀袋を渡すときについているアレ。

 

 

このご祝儀袋の右上についているのが熨斗です。

ご祝儀袋についている熨斗は、熨斗の小さいバージョンなので小熨斗と言います。

今はご祝儀袋は買うものですが、そもそもご祝儀袋も熨斗も自分で作るもの。

日本では「折る」「包む」「結ぶ」というのは大切な文化なのです。

しかも紅と白の紙を重ねて作る。「重ねる」も祝い事には大事な要素。

そして人の手で作るから、意味がある。

だから講座の中では奉書紙を重ね、折り、ご祝儀袋と熨斗を作ってもらいます。

きっと笠についている熨斗も、ひとつひとつ神職の方が時間をかけて作ってくださったもの。

 

神様は目には見えないし、本当にいるかどうかはわからない。

少なくとも私は見たことはないし、感じたこともない。

でもきっと、何か大きな存在が私たちを見守ってくれていると思ってます。

 

祭りは「お祭り騒ぎ」をするためのものでない。「お祀り」するものです。

それらをやった結果、お祭りは賑わいになり、騒ぎのようになっているもの。

 

川越まつりも、もちろん楽しむつもりですが

神事であることは忘れてはならないと思っています。

たかが笠でも大きな意味がこもっているのです。