マダムのお茶は私をモロッコへと連れていった

香りを嗅ぐと、何かを思い出す

そんなことは、ありませんか?

 

先月の話です。

出張ワークショップで

とあるサロンに伺わせていただきました。

 

初めましての、サロンオーナー。

少しミステリアスなところのある

上品なマダム。

 

マダムはワークショップの前に

私にお茶を入れてくださいました。

 

 

色味は紅茶。

 

カップを口元へ持っていくと

ふわっと透き通る爽やかな香りに包まれました。

 

ミントだ

 

私の気持ちは、一気に

四半世紀の時を超えて

モロッコへと飛びました。

 

 

モロッコなんて、全然行きたい国ではなかったのだけど

友人に誘われ、20代前半の私は

モロッコに行くことなりました。

 

何があるのかもわからなかったモロッコは

イスラム教の国というのもあり

何もかもが異国情緒。

 

 

しかも1週間かけてモロッコ国内をバスで回ったのだけど、

同じ国内なのに、こんなにも風景が違うものかと驚きの連続。

 

 

高い山を越え

雪景色があったかと思えば

行けども行けども荒野の一本道、

 

 

突然出てくるドライブイン。

そして砂漠。

 

 

そんな全く気候の違う国内なのに、

どこに行っても出されたのがミントティー。

 

これでもか、というくらいに

ミントの葉の入ったティーポットから注がれるミントティー。

 

 

味はといえば、日本のミントティーを想像してはいけません、

モロッコのミントティーは激甘です。

 

初めはその甘さに驚くが、次第に

これがモロッコの味だと

だんだん慣れてきたから不思議。

 

1週間の旅行の間に何回飲んだかしら、

私の中ではすっかり

モロッコ=タジンやクスクスではなく

モロッコ=ミントティーが確定されました。

 

あれから四半世紀経ちましたが

あの旅行以来、モロッコ風ミントティーには

お目にかかったことはありません。

 

けれども、ミントの香り、

それもお茶になっているミントの香りを嗅ぐと

砂漠や迷路のような旧市街、

 

 

バスから見える、草のほとんど生えてない、

景色の変わらない茶色の風景を思い出し、

 

同時にその時に感じていた

ワクワクした気持ちが蘇ってくるのです。

 

香りというのは不思議ですね。

時間も空間も飛び越えて

ワクワク感を思い出させてくれるのだから。

 

今、もう一度行ってみたい国NO.1はモロッコです。

 

ちなみに、こういった

ある特定の匂いが、それに結びつく

記憶や感情を呼び起こす現象を

「プルースト効果」

と言います。

 

ちょっと緊張して臨んだワークショップでしたが

マダムの入れてくださったミントティーのおかげで

その後はリラックスして

お客様とも会話を楽しみながら

ワークショップを進めることができました。