蘭奢待、思ってたんと違う。。。。。

お香が好きな人ならば、一度は耳にしたことがある「蘭奢待」。

織田信長が切り取ったことで有名な香木。

 

ただいま奈良国立博物館で開催中の「正倉院展」で蘭奢待が展示されてます。

 

正倉院展公式HP

https://shosoin-ten.jp

 

私は数年前に東京国立博物館で開催された正倉院の特別展で蘭奢待を初めて見ました。

テキストやネットで画像をみると30cmくらいのものを想像してしまうのですが、

実物は1メートル以上あるので「百聞は一見にしかずとはコレだな」と思ったものです。

 

実物を見られるだけでも貴重なのですが、

やはり香木である蘭奢待の貴重さは香りであることに間違いないのです。

しかし展示されている蘭奢待はアクリル板を挟んでしか見られないので、香りは香ってこない。

いや、近づいても香っているのかどうかも怪しい。

蘭奢待は1,000年前からある香木なので。

腐っていてもおかしくないようなものが、現存しているのが奇跡だし、

香りというだんだん薄れていくものが、果たして今も香っているのか?

文献によれば、いまだに微かに香っているという話ではあるのですが…

 

そもそも沈香という香木は、テキスト的には温める、もしくは焚くと香りが発生し、

常温のままではほとんど香らないというのが定説。

もし常温でも香っているとしたら、沈香の中でも「伽羅(キャラ)」と呼ばれる最高級沈香。

常温でも香るし、温めるとさらにいい香りが広がるのが伽羅。

でも蘭奢待は伽羅とは言われていない。

 

伽羅でなくても、沈香がいい香りであることは私も身をもって知っているのですが、

では歴史上の有名人たちが所望したという沈香は、一体どのような香りだったのか?

想像するだけで浪漫が広がります。

一説によるとその香りは明治天皇が「古めきしずか」と表現したと言われています。

 

古めきしずか…余計わからん、どんな香りなのか…

 

さて、この蘭奢待の香りを再現した展示会が東京で開かれています。

上野の森美術館『正倉院 THE SHOW』。

 

 

『宝物を360度からスキャンして取得された高精細な3Dデジタルデータに演出を施した展示』(正倉院 THE SHOW HPより)ということで、

言ってしまえば本物の宝物はひとつもなく、全て模造品という展示会。

模造品とはいえ、材料・技術まで再現し、デジタルアートにより360度から見られます。

 

けれど最大の見どころは、そんなものより(←大変失礼)蘭奢待の香りが再現されているということ。

前売り券販売初日に入場券を入手し、お香スクール同期の友人たちと先週嗅ぎにいってきました。

 

ビーカーに入れられた再現香りのモトを、ワイングラスを逆さまにしたような形のフタで覆い、

フタの内側についた香りを嗅ぐという方法で展示。

 

 

中央には大河ドラマ「麒麟がくる」の撮影で使われた蘭奢待のレプリカも展示も。

 

 

レプリカとはいえ蘭奢待を目の当たりにすると、テンションが上がります。

では、いざ、蘭奢待の香りの試香へ。

 

嗅ぐ。

フタを戻す。

 

おや?

 

もう一度、フタを開ける。

嗅ぐ。

 

あれ?

 

三度、フタを開ける。

嗅ぐ。

 

ホントに??

 

そして友人たちの顔を見る。

私と同じように、ちょっと困った顔をしている。

 

 

思ってたんと違う。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。

 

 

まず最初に言いますが、めちゃくちゃいい香りです。

それは間違いない。

いや、この香りを嫌いな人はいない。

 

甘くて、軽やかで、繊細。

フローラルのようであり、フルーティーであり。

 

こんな香水があったらつけたい!!

 

そんな香り。

そう、香水っぽい香りなのですよ。

 

アロマのエッセンシャルオイルの感じではない。

しかも香木なのに、木の雰囲気がない。

どこかの老舗高級香水メーカーの香りだと言われてもおかしくない、そんな香り。

 

沈香の雰囲気が私には伝わってこない…

唯一無二の香りだと言われればそれはそうなのだけど。

なんか、納得いかない。

いや、間違いなくいい香りで、ずっと嗅いでいたい香りであることに間違いはないのだけど。

 

モヤっとした気持ちのまま、ミュージアムショップへ。

 

(美しい回廊を通る)

(現代の作家さんの作品も。私が写りこんでる…)

(篠原ともえさんの作品も)

 

情報では蘭奢待を再現した香りのカードが売られていると聞いていたので。

手に入れて、家でも再現した香りを堪能したい!!

が…

 

 

なんと!売り切れ!!

これが楽しみできたのに、無念…

クッションにも枕にもならなさそうな使い道のわからない、蘭奢待柄プリントのミニクッション(しかも安くはない)でお茶を濁す気にもならず。

モヤっとした気持ちは残ったものの「蘭奢待の香り」を嗅げたことは大収穫。大満足。

これこそ百聞は一見にしかず、もとい、『百聞は一嗅にしかず」。

 

上野の森美術館で開催中『正倉院 THE SHOW』は11月9日(日)まで開催、あと1週間の会期。

私の鑑賞した日も、朝イチで行ったにも関わらず行列ができていたので、これから行かれる方は時間に余裕を持って行かれることをお勧めします。

 

上野の森美術館『正倉院 THE SHOW』公式HP

https://shosoin-the-show.jp/tokyo/