お客様からお香調合ワークショップのお申し込みをいただきました。
大変ありがたいことです。
そのお客様とのやりとりの中でご質問がありました。
お香とお線香の違いはありますか?
きっと多くの方が、この疑問を持っておられることと思いますので
本日はお答えしたいと思います。
その前に、想像してみてください。
皆さまはこの答え、何だと思われますか?
このご質問、本当にたくさんいただくのですけど
私たち香司が答える場合、二段構えでお答えすることになります。
まず第一に
そもそもお香って何を指すの?
ということです。
お香=線香と思われてる方が多いと思うのですが、実は違います。
お香という製品はありません。
お香にはふたつのものがあります。
「香木」と呼ばれる木、それから「香料を合わせて作った製品」このふたつです。
そして「香料を合わせて作った製品」の中に、線香があります。
「香料を合わせて作った製品」は他には
・お葬式で使う焼香
・お土産で見ることのある匂い袋
・茶道で使う練香
・お寺の参拝で使う塗香
があります。
ですので、お香と線香の違いという文章をそのままお答えすると、
線香はお香の種類のひとつなので、お香と線香は同じということになります。
文字で言うと、非常にわかりづらいですね…
ですので図にしてみました。
LANもwifiもルーターも何なのかわかってない超アナログの私が、頑張ってPCで書いてみました…
お分かりになりますでしょうか?
けれどもご質問された方は、そんな答えを待っていたのではないと思います。
なぜならば、線香と言えば仏壇やお墓参りで使われる、あの線香を想像される方がほとんどですが
お香というと、別のものを想像するので「お香とお線香の違い」の話になるのですね。
となると、想像しておられるのは、おそらく棒状ではないもの、つまりコーン型の線香だと考えます。
線香は材料となる香る草や木(香料と呼びます)に、糊材を混ぜて、形を作ったもの。
成型するときに棒状(=スティック型)にするか
円錐形(=コーン型)にするかで見た目が変わります。
つまり中身(=香り)は同じです。
ではなぜ違う形のものがあるのか?
基本的には「燃焼時間」と「香りの強さ」が違います。
線香の長さが長いほど、長時間焚けます。短ければ短時間で終わります。
市販の棒状の線香は、だいたい20〜30分のものが多いようです。
蚊取り線香のように渦巻き型にすれば、もっと長く焚けます。
一方コーン型の場合は短いので、私が作るものだと5〜10分で焚き終わります。
また棒状よりもコーン型は太いので、香りが強くなります。
ですので、私は好みに合わせて
ゆっくり燻らせたい方には棒状のお線香を、
香りを一気に楽しみたい方にはコーン型のお線香をお勧めしています。
けれども伝統的な作り方の場合、このような違いが現れるのですが
最近の線香は、棒状であっても香りがものすごく強いものもあるし
コーン型なので短いのに30分以上焚き続けている線香もあるので、一概には言えなくなっています。
趣味で線香を使う場合には、ご自分の使いやすい形を選べばいいかと思います。
ということで、最初の質問「お香とお線香の違いはありますか?」に戻ります。
お香と線香の違いは、コーン型線香とスティック型線香の違いということでしたら
香りに違いはないのですが、燃焼時間と香りの強さが違う場合があります。
好みやライフスタイルに合わせてお選びください、というのが私の答えになります。