「食べるお香」と呼ばれるお菓子があるのを
ご存知でしょうか。
京都祇園にある、江戸時代1617年創業の『亀屋清永』。
こちらの「清浄歓喜団」というお菓子が、それです。
香司になる勉強をしていた頃に
先生からこのお菓子の話をお聞きし、
一度食べてみたいとずっと思っていました。
ですので先月、京都を旅行した折に
祇園にあるお店を訪ね、購入してきました。
パッケージに由来が書いてありましたので
ご紹介します。
————————————————————————————–
清浄歓喜団の由来
略してお団と言い、
遠く奈良時代遣唐使により我国に伝えられた
唐菓子の一種で、数多い京菓子の中で、
千年の歴史を昔の姿そのまま、
今なお保存されているものの一つであります。
唐菓子とは「からくだもの」と呼ばれ、
仏教と共に我国へ伝わり、天台宗、真言宗などの、
密教のお供えもので、
当時は、とても一般庶民は口にすることは出来ず、
貴族のみに与えられたものであります。
七種の香を入れて包み、
そのほのかな神秘な香は仏教で言う「清め」の意であり、
八つの結びは八葉の蓮華をあらわし、
形は金袋になぞらえ、
たぎった上質の胡麻油で揚げてあります。
伝来の当時は中身は栗、柿、あんず等の木の実を、
かんぞう、あまずら等の薬草で、味つけしたらしく、
小豆餡を用いるようになったのは徳川中期の後であります。
弊店はその秘法を比叡山の阿闍梨(あじやり)より習ったと伝えられ、
月の一日、十五日を中心に調整します。
———————————————————————————–
さて、開けてみますと
まず目を引くのが、その形。
手のひらに乗るサイズ、
巾着ような形状です。
そして硬いです。
硬い煎餅のようなクッキーのような生地。
包丁では切れない感じです。
ですので、ガブっとかじってみました。
歯触りは煎餅のような感触。
中には小豆餡。
餡ではありますけど
和菓子のように、とても甘いといったものではなく
ほんのり甘さを感じる程度。
お香は、ほぼ漢方と同じものなので
薬っぽく、苦い食べ物を想像していましたが
それは全くなく、
キチンと(?)お菓子です。
そして「食べるお香」と聞いているのだから
肝心の香りはというと、
お香の香りよりも
ゴマの香りを感じました。
胡麻油で揚げているからですね。
パッケージを開けた瞬間に香りというよりは
食べていると香る。
お香の香りは
私はあまりわからなかった…
(私、香司なのに鼻が利かないのです…)
鼻が敏感な人が食べると
お香の香りがするのかしら。
「食べるお香」の存在を聞いてから
ずっと食べてみたかったお菓子。
ようやく口にすることが出来ました。
「平安時代の人と同じものを食べている」
と想像するとロマンがある!!
平安の文化、王朝の文化が好きな方は
お手にしてみてはいかがでしょうか?
ちなみに、お店の人に
「このお菓子、1日と15日にしか
販売してないのですよね」
と尋ねたところ、
「いえ、そんなことはございませんよ」
とのお返事だったので
いつ伺っても
手にすることは出来そうですよ。