日本人にとっての菊

先日、川越では有名な寺院「喜多院」を参拝したとき、

境内で「小江戸川越菊まつり」が開かれていました。

 

日本人にとっては馴染み深い「菊」。

桜とともに国花となっています。

 

皇室の紋章も菊ですし、

パスポートの表紙も菊。

 

けれど同じ菊の紋章でも

皇室の紋章は菊花十六弁に

複弁を加えた「八重菊」、

パスポートの紋章は複弁はなく、

単一の一重菊。

微妙な違いはあるようです。

 

菊は邪気を祓い

長寿をもたらす霊草とされ

古くから9月9日の重陽の節句には

日本酒に菊を浮かべた「菊酒」をいただいてきました。

 

そんな菊はお香においても

欠かせないテーマで、

「菊花」というお香が

平安時代からあります。

 

「菊花。菊花ににたるにほひにやあらむ。」

 

と書物にあり、

菊の花に似せた香りのお香を言います。

 

陰干しにした菊を加えるか、

もしくは調合するときに

傍らに菊を置き、作っていたようです。

また

 

「長生久視之香也」

 

とあり、これは不老長寿を願う香であると言っています。

一方、もう一つの国花・桜は

平安時代の調合には出てきません。

 

今では桜のほうが

日本を代表する花のように感じますが

古くは菊のほうが

願いを込める意味もあり、

より身近な花だったようです。